めっちゃウマイ「牛角の炙りベーコン」

お笑い芸人の「増田岡田」とYahooで検索したら、画面上で「“ますだおかだ”ではありませんか?」と恥ずかしい指摘を受ける。さらに、考えてみたら「どちらが“ますだ”で“おかだ”なのだかわからない」私なのであった。

さて。

ボケの方が岡田で、つっ込みの方が増田と判明したところで、岡田といえば→牛角→炙りベーコン→「めっちゃウマイねん!」である。

なんのことだか「さっぱり」という人も少なくないと思うので説明すると、ある深夜番組で「どちらかというとグルメ」な芸能人審査員に対し、選ばれし三人の芸能人ゲストが「私のとっておきの逸品料理」をプレゼンし、その日のNo.1料理の座をかけて競い合うといった企画があった。

審査員はその料理の数々を実際に食して判断することは出来ないので、ゲストは「自分の推薦する料理がどんなに美味しいものなのか」ということを、言葉巧みにアピールしなければならない。

そこにプレゼン側のゲストとして岡田が参戦していた。

他、TBSの「サンデージャポン」でおなじみの西川先生、それから「いつでもどこでも幽体離脱ができる」という離れワザを持つ双子の芸人という顔ぶれ。まともにプレゼンできそうなのが西川女史のみって時点で「勝負になるのか?」という疑問がつきまとう不安な企画ではあった。

最初に登場した西川女史は無難な感じで「うどん」(すみません、なんの種類のうどん料理だったかまったく記憶なしです)をプレゼンし、次に登場した双子芸人は「肉系」(すみません、これに至っては料理の内容すら記憶になしです)を推薦し、ラストを飾る岡田へと続く。

そして岡田が声高に叫んだのが「牛角」。焼肉屋を全国に展開する有名なチェーン店である。

「えっ? なんで?」というクエスチョンマークと共に、かすかな失笑が収録スタジオを包み込む。

しかし常に「古めのハズれたギャグ」ですべっている岡田は「そういう空気」に対して免疫ができているので、ひるむことなく「牛角の炙りベーコン」のウマさを力説するのであった。

「こんなにウマイのにたったの410円!!」とお手頃価格を力強く強調するあたりは、関西人らしい。確かに大事なポイントである。

断っておくが、私はチェーン店の味というものを軽視しているわけではない。ただ、いわゆる「グルメ番組」で重要なポイントとされているのは「料理そのものの味」と「料理や店の希少価値」である。

「その土地」や「その店」でしか食べられないような希少性に「グルメ料理」としてのさらなる魅力というものがプラスされるのである。

その点でいくと、どんなにうまかろうが「牛角」は不利である。岡田は真っ向勝負を挑んだつもりらしいが、不本意にも白旗揚げちゃったも同然の展開である。

番組の趣旨などまったく汲み取らずに、「めっちゃウマイねん!」で、我が道突き進んじゃった感じ。ある意味立派だけど。

さらに岡田の「意外性」の暴走は「牛角」をチョイスした点だけでは済まない。

一般的認識でいくと「焼肉屋」といえばメインにくるのは「牛肉」。しかし岡田は「焼肉屋」なのにあえて「ベーコン」をゴリ押し。その点は岡田自身も指摘していたが、とにかく、またもや「めっちゃウマイねん!」という強引な一本気を貫いて牛ではなく豚で勝負に出た。

勝負した結果「落選」。選ばれたのは「意外性」のない西川女史のオススメ料理だった。

しかし岡田の熱意は私がしかと受け止め、「牛角に行く機会があったら炙りベーコンを」というフレーズは、私の胸に深く刻まれた。

そして今日。

私は牛角で「炙りベーコン」を食べた。

この日、数多くある肉メニューの中で二度に渡るリクエスト注文をしたのは、岡田ご推薦の「炙りベーコン」のみである。