雨漏り修復!! 第何弾?

新築当初から立派な雨漏りだった当店手前のフロアは、もちろん雨の日は今もって、しとしとぴちょぴちょぼとぼとと、招かれざる雨粒を積極的に招き入れている。

これまで何度も「大工さん」と思われる人たちにお願いして、この根性のある雨漏りを修復してもらってきたのだが、残念ながらこの雨漏りにストップをかけられた大工さん(本物)は現れないまま、今に至っている。もう誰にも、この暴走は止められないようである。

前回のバリ島から数ヶ月ぶりに見上げる天井は、板が歪み、さらにはカビのデコレーションまで加わってしまい、見るも無残である。

お店のスタッフの知っている大工さんは、ここのところ数ヶ月間にも及ぶセレモニーの準備のために忙しく、本業の大工仕事などしていられないという。相変わらずすごい話である。本業そっちのけだからね。

現地の人に「あてがない」のでは、たまに来る程度のよそ者の私になんか、大工の知り合いなんて見当もつかない。

「どうしよっかなぁ〜」と思っていたら、宿に出入りしてる「職業・大工」とおぼしきオッサンと遭遇し、「これは神さまが与えてくださったチャンスに違いない!!」と思い込むことにし、評判だの腕前だのまったくもって事前情報がないまま、私はこの大工さん(たぶん)に、お店の雨漏り修繕作業を依頼することにした。

たまたまその場に居合わせたお店のスタッフに、一通りお店の状況を説明してもらうと、大工さん(以下、棟梁と表記)はフンフン軽く頷いて、その場で快く「オッケー」と依頼を承諾してくれた。

しかし「オッケー」と言ったものの、具体的な日時だの、自分の連絡先だの、こちらの連絡先だのを聞く姿勢を見せないので、「あぁ、この人も口先だけかなぁ」などと思っていたら、その日の午後にはお店の雨漏り状況を確認すべく現場に足を運び、「明日には作業に入れる」と、これまでになくトントン拍子な運びとなり、その熱意に「この人はやる人かもしれない」と、大いに期待してしまったのであった。

そして作業当日。
営業終了時間の一時間前にわらわらと、これまたこれまでになく大所帯の「大工さん三人トリオ(うち一人は見習い)」がお店にやってきて、手際よく作業の準備を始めたのだが、今日の作業予定をそれとなく聞くと、事前にお店の男性スタッフから聞いていた話と「あれ?」って点が出てきた。

まずは、そもそも大工さんたちがやって来た時間が閉店一時間前の17時という点に着目。今の時期は18時も回るとあたりは暗くなる。今日のところは軽く店内の天井作業から始め、明日以降も作業を続けるのかと思ったら「今日中に作業が終わる」という。しかも、どんなに遅くても21時には終了できると断言。

さらには、作業人数三人という大所帯のわりには、大工さんがバイク一台で持ってきた素材といったら、少し大きめの板切れが二枚だけ。これまでになく簡素な素材アイテム。

「なんだこりゃ?」

「必ず作業時間にはチェックをしに来るから心配しないで」と前日に言っていた男性スタッフは、予想通りにお店に来ることなく、そのことをもう一人の女性スタッフは「まだ約束の時間を20分過ぎただけだから」と大人なフォローをし、「優しいねぇ。私は絶対に忘れてると思う」と思った通り、通訳兼も兼ねている男性スタッフは、結局その日、姿を現すことがなかったのだった。

すべてにおいて「なんだこりゃ」でスタートした雨漏り修繕作業。あてにならない通訳スタッフに「今すぐ来い!!」と電話する気にもなれず、もうこれは自分の拙いインドネシア語で、今の現状を理解するしかないと覚悟を決める。

スタッフの通訳だと、棟梁は「瓦からいじる作業になると困難なので、店内の腐ってしまった天板を変え、外の屋根にウォータープルーフ仕様のペンキを塗って処置をする」とのことだった。

それは一時的な対応でしかならないけれど、ひとまず今年はそれで乗り切るしかないとは思っていたので、私はその作業内容で納得をした。この時に、他にも細かいことを指摘したものの、棟梁との話し合いに立ち会った男性スタッフが「そんなに心配しなくて大丈夫だって。この人はプロなんだから」と、まったくもって私にとっては説得力のない言葉で会話を終了させたのであった。たぶん面倒臭かったんだと思う。

しかし再度、実際の作業内容を棟梁に訊ねると「ウォータープルーフなんてしないよ。そんなことしたらめちゃくちゃ高くなるもん。値段?知らないけど、すっごく高いって。え? そうだよ。天板変えて作業はおしまいだよ。こんなの本格的に作業しちゃったら難しくて出来ないもん」と、絶望的なことを表情ひとつ変えずに言いのけたのである。

天板変えるだけ? たったそれだけ? たったそれだけの作業のために大工が三人も? 作業料金にも、しっかり頭数の三人分料金が乗せられてたけど、こんな程度の作業だったら一人で十分だったよね? そもそもそれ程度の作業しかしてくれないんだったら、あ・な・た・に・は・た・の・ま・な・かっ・た・・・・・。

最後は殺意に似た感情を棟梁に抱いたが、まっとうなインドネシア語を話せずにコミュニケーション不足だった自分も悪かったし、棟梁以外の大工さんはさっさと作業始めちゃってるし、一時しのぎに過ぎないにしても、天板変えてもらうだけでも少しは状況変わるだろうと、穏やかな心でトリオを見守ることにした。

それにしても棟梁、忙しなく口だけは動かすけれど、まったくもって「大工としての動き」がなかったなぁ。なかなか作業要員の大工さんがうまく作業が出来ないときだけ「どけ!! 俺が見事にやってのける」って威勢よく代わるんだけど、結局なんにも出来なくて、他の大工さん(弟子の口調には思えなかったので)に「いいから俺がやるからどいとけって」って感じで、ちょっと邪魔者扱いされてた感じだったし。

気の良い大工さん達だったけど、とにかく作業が雑でハラハラすることの連続でした。用意した天板のサイズが合わなかったみたいで、トンカチで角を強引に叩いたり、手で乱暴に板を割ったりして、強引にサイズを合わせるんだからね。お陰で板が欠けちゃって、天井裏の隙間が少し見えちゃったりして、「間違いなくそこから雨漏りするだろ」って、本当に見ちゃいられませんでしたよ。

さらに最後のオチが「なんとか天板は変えられたけど、その作業部分に掛かっていた照明が見事に点かなくなった」である。照明のコードを泣き叫びたくなるほど強引に引っ張ったり、しばらくブラブラと宙吊りにさせておいたり「間違いなくあの照明は使い物にならんだろ」って思ってたら、やっぱり点灯しなくなりました。最終的にどうにもこうにもできなくて、お手上げ状態でそのままにして大工さんは帰宅。

あぁ、誰か。「まとも」とは言わない。「もうちょっとマシな大工さん」を知っていたら、紹介して頂きたい。切に願う。













↑にっくき雨漏りはこの二箇所から↓
















まずは、雨漏りですっかりカビてしまった天板を取り外す。











ようやく板を外すと、天井裏に蓄積していた大量の埃と砂が落下。













仲良く並んで真新しい天板を取り付けます。








恥ずかしいくらいの真っ白さ。「ここだけ真っ白なんておかしい。全部きちんと同じく塗り替えろ」という大工さん。あのね、そんなことは重要じゃないのよ。視点がおかしいでしょ? 雨漏りなの。雨漏りが問題なの。そこを誰一人として修復できないってのが一番おかしいことなの!!



作業場所のひとつは照明が点いたのに、もう一つがどんなに頑張ってみても点灯しない。「電球が切れているからだ」と言い張るので、絶対にそんなことはないんだけど新しい電球と取り替えてみる。やっぱり点かない。棟梁、下界でただ見守るだけ(左端)。