バリ人とうまく付き合うための大まかな原則

「規模ちっちぇ」と言われればそれまでだが、問題の大きさうんぬんではない。

「気持ち的に納得できない」ことがあって、人生の上でも商売の上でも先輩の現地在住の日本人Aさんと、これまた人生の上でも商売の上でも大先輩の現地在住のインドネシア人Bさん(バリニーズではない)に、とある問題について相談した。

相談内容はお店に関わることで(さらには金銭絡み)、ここであまり詳細を明記してしまうと後々厄介ごとになりかねないので、ひょっとしたら状況が理解できないほどの割愛になってしまうかもしれず恐縮だが、AさんとBさんには事情をざっと説明し、私が興奮気味に「これってどう思う?幾らなんでも要求が明らかに不平等でしょっ?!」と、バリ人とのいざこざを話すと、日本人のAさんもインドネシア人のBさんも、同じ解決策を提示してきたのだが、さらにBさんはこんな大雑把なアドバイスをくれた。

「いい? バリニーズと付き合っていくにはふたつのことが大事。ふたつだけ。ひとつめは『ケンカをしないこと』、ふたつめは『ケチらないこと』。それだけ。ただそれだけやらなければ大丈夫」

なんか、そんな深刻な顔して頂戴するほどの言葉でもなかったなぁ。
なんだか子供に言い聞かせる言葉みたいで、笑いそうになったがやめた。
Bさん、すっごい真剣な顔してるから、これってよっぽどシリアスなことなんだろう。

でも、そうだよね。
特に最初の言葉、わかってるんだけど、私がよくやってしまう行為である。

「私は今、バリ島にいるのだから」と、いつも忘れないようにしてるのに、「日本人的思考」で物事あてはめようとすると、バリ島だけじゃなくて、ネパールでだって、タイでだって、どこの国でも大なり小なり「あれれ?」ってことにぶちあたったりする。

それは、国といった土地柄だけの特徴ではなくて、さらにはひとそれぞれ個性ってものがあるわけだから、違ってくるものがたくさんあって当たり前だし、それを楽しむくらいの気持ちの余裕があってもいい。

たださぁ。
ビジネスなんだし、こっちだって金銭的に余裕があるわけではないんだし、どう考えても平等ではなさ過ぎるんだよね、要求内容が。

アンタはお金持ってる外国人で、そもそも同じ土俵に立ってるわけじゃないんだよ。

そういう思いが大前提であるから、こういう要求してくるんだろうけどさぁ。
これ以上もめてさらにギクシャクすることを考えれば、その要求額なんて大したことないもんなんだけど、去年も同じ件で全面的に要求のんで「これ以上の上乗せはしないこと」って約束したのにも関わらずだから、余計に納得できないんだよねぇ。そうやって結局は気持ちの問題に行き着いちゃう。

「まぁ、そうなんだよね。メンドクサイから出しときゃいいんだよね。とりあえず」と、自分に言い聞かせるようにポツリ言うと、「もう、人間気持ち悪いよね」と、私以上に暗い顔して人間関係「うんざり」ってことを言うBさん。

そうだね。
さっきもイスラエル人のお客にうるさいこと言われてたもんね。
それもかなりしつこく。
すっごく小さなことをネチネチと。
その人、どんな提案しても納得しなかった。
そして、30分以上も上から目線で言うだけ言って、何一つ購入されずに出ていかれましたけど、結局なにがしたかったのか?

私なんてそのお客さんよりずっと先に来てたのに(買い付けがてらの相談ですよ)、横入りしといてうだうだうだうだ文句と自己主張だけして、人を待たせてることを何とも思っちゃいないから「なんでもいいから私の会計を先にさせてよ!!」と、ノドまでその言葉が出かかった。

そうしなかったのは、「もう、人間気持ち悪いよね。面倒くさいよね。ネコが本当にカワイイよね」と繰り返し、「ネコが一番イイ」と深いため息をつくBさんのため。
ま、すぐに口に出して言っちゃうくらいだから、深刻な「人間不信」ってわけじゃないだろうけど、いろいろと疲れちゃう気持ち、ワカリマス。