売上管理に思案ス

これは軽犯罪に相当してしまうんだろうか、やっぱり。
どう考えたって「売上金着服」だもんね。

お店の売上金を持ち出し、コンビニで買って来たアイスクリームを美味しそうに、そしてなんの躊躇もなくペロペロとたいらげるネット屋のスタッフを眺め見た。

そんな私に「なんで食べないの? 溶けちゃうよ」と、スタッフの女の子。
ご丁寧に私の分まで買って来てくれたのだ。

愛しのチョコレートアイスクリーム。
キミに一度でも手を触れようものなら、私は彼らの共犯者となってしまう。
それよりなにより、もし万が一、そんなことは絶対に有りえないが、私のお店のスタッフが同じようなことをしたとしよう。
同じボスとして、そのようなスタッフの行動は「許されない呆れた行為」であり、信頼を裏切られたという事実に深く傷つくことになるだろう。

そう、たとえそれがお手軽価格で購入できる「ガリガリ君*1」の一本であったとしても、だ。
食べ物の恨みは恐ろしいというではないか。

それにキミたち! 売上金をちょこまかとパソコンで計上しているというのに、そんなことをしてボスにバレないとでも思っているのか?

それともなにか? 自分のネット屋で彼女とイチャついてるようなボスなら、これくらいのことをやっても「まだかわいいほうである」なんて思っているのか?
まぁ、それはそうかもね。

「おい! グズグズしてないでとっと食え」
「でも、お店のボスの許可を取らないで使ったお金だから・・・」
「なにゴチャゴチャ言ってんだよ。そんなこと気にすんなって。それともチョコレートじゃなくてカプチーノ味の方が良かったのか?」と、男性スタッフ。「それ、カプチーノ味?」と、すでに半分は平らげてしまっている女性スタッフに声を掛ける。それ、こっちに回すつもりか? お断りだ。

ぐだぐだ悩んだところで、その分溶けたアイスクリームを食べさせられるだけなので、「いただきまーす、ボス」(ここにはいないけど)と感謝し、ご馳走になってしまった。

実は今までにもこういう場面は何度か目にしたことがあった。
中には、売り物の一部である飲み物などを「どうぞ」と、お金など受け取らずに差し出すスタッフなどもいた。まぁ、これはいくらでも誤魔化しようがあるが、伝票やパソコンでの打ち込みなどでしっかり記録に残ってしまう売上金に関しては、そうもいかないはずである。

お店の経営の仕方や管理はそれぞれいろいろあるのだろうが、他のボスはどのような方法と頻度で、金銭管理とチェックを行っているのだろうか?
そして恐らくそれに伴うであろう「お金にまつわるトラブルの許容範囲」はどこまで設定されているのだろうか?
気になるところである。

なぜなら「売上金」などの金銭関係については、実はうちでもいろいろあって頭のイタイところなのだが、どうやら彼らは、私たち日本人ほどそれらのお金を「過不足あってはいけない正確な管理の元にあるべきお金」と、神経質に認識してはいないようなフシがある。
あと、あれだな。お金の計算や管理がとても苦手だし、厳しい事を書くと、とてもルーズである。

だから、悪気はないのだが「しかしそれは立派な使い込みである」という事も発生する。もちろん故意に行われているものも中にはあると思うが―――。

それから多少話はずれるが、おつりが足りなかったりすると自分のサイフからお金を出しているスタッフなどを頻繁に目撃する。あれは後からどのように調整しているのだろうか? ごっちゃになってしまわないのだろうか?

うちはそのような混乱を招かないように、私がこちらに滞在している間はこまかいお札を揃えたつり銭を常に用意しておくようにしてある。

そう自信を持っていたのに、ある日の閉店の際、売上金とつり銭の勘定をしていると、どんなに計算し直してつり銭を数えたところで、お金が合わないということがあった。

多いのである。
存在してはいけないお金があるのである。
私は動揺した。
少ないのも困るが、なにより「お客さまに損をさせること」があってはならない。

「なんでお金が多いんだぁー!!」と、私は叫んだ。
すると初代スタッフ君が「あ、おつりが足りなくて自分のサイフから出したんだった」と、笑っているではないか。

お金、持ってるんだ。
とんでもない子ども扱いだが、なんせ当時19歳のスタッフ君である。
なんだかとても申し訳ないことをさせた気分になってしまった。

私は彼が立て替えたお金を「これで間違いない?」と再度確認して手渡した。
「うん、大丈夫」「ボクがしたことは間違ったことじゃないけど、お金は大事にしなくちゃダメだよ」という会話をその時したかどうかは定かではないが、とくにお金の件では、スタッフに負担がかからないよう気を配らないといけないと反省したのは覚えている。

ここまで読むと「彼らはただ単にお金に対する執着と認識が低いだけではないのか?」と解釈されるかもしれないが、ほんとーにわずかにそのような人もいるであろうが、「そうでもない」とだけ明記しておく。

*1:私の大好きな棒アイスであるが、残念ながらここバリ島で見かけたことはありません。