バリ島ロスメンの「今どき」料金事情

私のように、ごくごく限られた予算内で少しでも長くバリ島に滞在したいという自由旅行者には、この時期のバリ島への渡航はあまりお勧めできない。

ごく二年ほど前はなんの問題もなかった。

金銭的に問題が生じるといえば、航空チケット代くらいのことであろう。

商売上の理屈はわかる。

「多くの消費が見込める商売絶好のチャンス」という時期に、料金をグンと上げ、逆に、消費が落ち込むシーズンにはお手頃な料金で旅行が出来るよう、ハイシーズンとの格差を設定し料金を下げる。

私は限られた時期にしか休みの取れない人間ではないが、商売上のシステムであるとは理解できても「この露骨な差額はないなぁ」と、納得はできていない。

そのような納得できないシステムが、バリ島・ウブドロスメン(安宿)でも導入されたのは、私の記憶では去年の夏の渡航時期からだったと思われる。

いつもの宿に予約を入れて、いつもと同じ宿泊料金をまとめて前払いしたところ「これではぜんぜん足りない」と、宿のオーナーに突っ返されたのである。(全額前払いなんて他の宿だって徴収したりしないのに)

そこで初めて聞いたのが「今はハイシーズンだから通常の倍を支払ってもらう」というハイシーズン料金設定である。

これには唖然とした。

請求された料金が、この宿の場合は通常の三倍もの部屋代に膨れ上がっていたのである。

これには、その場に立ち会ったバリ人の友達も激怒し、珍しく積極的に料金交渉に参戦してくれたので、「言い値三倍」からだいぶ料金を引き下げることに成功したものの、この一件ですっかり気分を害した私は、翌日からお店の仕事と同時進行しながら時間を見つけては「次回のロスメン探し」に励んだのである。

ロスメンに分類されるそれらは、日本でいうところの「民宿」にあたる役割を果たしており、たいていの場合は「現地の人が自分の住居の敷地内で宿を経営」(もちろんそうでない場合もある)しており、そのためホテルなどに宿泊するより随分と価格帯が下げられている。

料金が低いのには、ホテルに比べて設備やサービスが「庶民的」である(なんか曖昧な表現だなぁ)というのもあり、その辺は経済的なこともさることながら、滞在スタイルの好みにもよって、ホテル派ORロスメン派というのに分かれてくる。

近年では、設備もサービスも向上した「価格に見合ったロスメン」(これはあくまでも私個人の見解による)も誕生してきたが、まだまだ「10年前から設備も変わらぬどころか手入れも行き届いていない向上心のないロスメン」が多く、それらが微塵の羞恥心も見せることなく「ハイシーズン料金適用中」という、相手に有無を言わせぬ前置きを持ち出し、「一泊RP150,000でいいよ」だの「うちは一泊RP200,000でディスカウントは一切しません」だのというのを聞くと、その日のテンションが落ちるところまで落ちてしまうのである。

少し前までなら、一泊RP100,000以内のロスメンを探すのはそれほど困難なことではなかったのに、幾ら年々物価が上昇してるといえど、その急激な値上げには納得し難いものがあるのであった。

滞在日数によっては割引してくれるロスメンもあるが、8月中旬頃までの空室状況でいくと、ほとんどのロスメンでも空き部屋はないので、強気な料金設定を提示してくるところも多く、現地に到着してから「宿探し&料金交渉」というのは、この時期に遂行するのは止めておいた方がよい。

補足で書き足しておくと、2010年の7月と8月の平均ロスメン一泊料金は(ウブドエリア)、たいていどこも口を揃えて「RP150,000」で、日本人に人気のあるロスメンはRP150,000〜RP200,000が平均である。8月30日前後になると空き室も目立ってきて、弱気になって料金を下げる宿も出てくるので、予約と料金交渉の「絶妙なタイミング」を見計らって渡航することをオススメする。






















ロスメンのテラスでの朝食。緑に囲まれた中での食事で胃袋も心も満たされる