特別な場所

タイに来ると、どんなに短期間の滞在であっても時間をさいて訪ねる場所。

「ワット・ポー」である。

タイのガイドブックになら必ずといっていいほど紹介されている、あの有名な涅槃像のある寺院が、それである。

涅槃像の穏やかで悠然とした微笑みもさることながら、私はあの寺院内のゆったりとした雰囲気と時の流れにたまらなく魅了されてしまう。

地元の人はもとより、観光客なら誰でも知っているくらいの寺院なので、いつ行っても人でごった返しているのだが、そんな状況の中でも、あの空間は不思議と「俗物に流されない悠々とした時間」が存在しているのである(寺なんだから当たり前とかって突っ込みはご遠慮いただきたい)。

煩悩丸出しの俗物人間な私は、ここへ来てまでも、身勝手な願い事を手を合わせてぶつくさとこぼすのだが、最後に必ず、再びこの場所、この国へと戻って来れたことへの感謝と、そしてまた、再訪出来るようにという思いを込めて、深く深く、仏像に向かって頭を下げる。

願いは聞き入れられるだろうか?

その道を切り開くことができるだろうか?