フライング

「服に着られてしまっている」というような不似合いなスーツ姿で、派遣会社へ登録の手続きをしに行った。

まずは、派遣会社についての一通りの説明を聞き→10枚近くに及ぶ書類やアンケートに目を通して記入→(自分のことなのに記憶が曖昧という恐怖感を味わう)→一般常識テストを受ける→(解答に目を通し深く頭を垂れる)→パソコンのスキルチェックを受ける→(「非常に早いですね」と褒められて少しいい気になる)と、肝心な「面談」を残したこれまでの工程で、私の疲労感はすでにピークへ達しようとしていた。

「まぁ、いいか。あとは気楽なオシャベリだと思えばさぁ」なんて、けしからん態度を見抜かれないよう、それからさらに一時間近くを要して、コーディネーターの方と言葉のキャッチボールを交わす。

これまでの職歴に関する質疑応答の中、数回に及ぶ「このお仕事の勤務地は?」というコーディネーターさんからの問いかけに、「えっと、あの、えーっと、あの、東京駅のひとつ手前の・・・。なんでしたっけ? あの駅」「●●線の東京駅のひとつ手前ですか? うーん。もしかして●●駅ですか?」「そうそう! あっ、すみません。きちんと駅名が出てこなくて・・・」なんてエラーを、二度ほど繰り返す。

この他にも、間違った勤務年度を書き込んでしまった為に、コーディネーターさんをすっかり混乱させてしまうというアウトプレイを重ね、取りこぼしたボールの重みを痛感する二時間半となった。

まだ、社会復帰には早いかもしれません、私。