思うツボ

いろいろと諸事情があるため、天井取り付け用のファンではなく、扇風機を購入した。

この時期の店内は「暑い」「パナス」「暑い」「パナス」という、会話のやり取りに終始してしまいがちであり、「このままではスタッフとのコミュニケーションが単一化されてしまうやもしれぬ」という危機感を持ったからではない。別に。

ちなみに「パナス」とはインドネシア語で「あつい」である。
わざわざ改行して表記してみたが、別にそれほどのことではない。

扇風機。
「風がそよげばそれでよし」
家電屋さんに置いてある中で、1番モダンで高性能な「高い」やつ、買っちゃったよ。
売上が芳しくなかったのを「店内が暑くてお客さんが長居できないため」という言い訳に「そのためファンもしくはエアコンの導入を提案します」なんてやりたい放題発言をプラスしてきた現地スタッフに「なにをこれしきの売上で贅沢なこと言ってんじゃねーぞ」と、強硬姿勢でいた私ですが、実際「あー、店内で仕事したくないなぁ」なんて弱音吐いちゃったものですから、仕方ないじゃありませんか。

それになりより「笑顔の素敵なスタッフ二期生のワヤンさん」に申し訳ないほどの蒸し暑さ。一日中店内で過ごさなければいけないスタッフの身にもなってみました。
なってみた結果「やってらんねーよ」であった為、購入に踏み切った次第であります。

クビをブンブン振って、見るからに「家庭用」の扇風機ではありません。
あきらかに「他とは違うぜ」という風格を表していたため、内心ではものすごく気になっていたにもかかわらず「私●●クンって嫌いよ。ぜんぜん好きなんかじゃないわ。フンッ」みたいな態度を取っていたのである。

しかし。
良い物は好い。

私にはその「扇風機の良さ」を文章で表現できる力量がないので「とにかく良いの」という、非常に稚拙で説得力のないことしか書けないが、「基本的に電化製品には保証書なんて付けないよ」っていうスタイルのバリ島にあって「三年間の保証書付き」である。

「三ヶ月でしょ?」って、ちょっとおちょくっただけなのに「三年です」と真顔で答える店員さん。本気だ。この製品は本気である。購入して一週間もたたないうちに故障してしまった根性なしのラジカセとはワケが違う。しかもあそこの家電屋「保証書は?」と訊ねたら「バリ島にはそのようなものは存在しない」と鼻であしらった。同席していた宿のオーナーなど「ばっかじゃないのぉ。ここは日本じゃないんだよーん」みたいな口ぶりだったぞ。バカはどっちだ!

そういうわけで、なにはともあれ扇風機(三年間の保証書付き)である。
いくら「そのお店で1番高価な扇風機」であったとしても、残念ながら「涼しいそよ風」をお届けできるのはスタッフの背後周辺に限りますが、良かったら涼みにいらしてくださいね。(店長より)