その評価はカウンターパンチ
姪っ子は音楽をこよなく愛する赤ちゃんだ。
胎内にいるときからずっと、赤ちゃんは「音」に敏感な世界の中で生きているらしいので、それは当然のことなのかもしれない。
姪っ子がぐずりだすと、家族の誰もがすかさず「音楽」を流し始める。
ジャンルは童謡。
「いぬのおまわりさん」「どんぐりころころ」「おおきなふるどけい」「おもちゃのチャチャチャ」など、一度は必ず歌ったことのある慣れ親しんだ曲である。
最近ではメロディーを流す程度では納得してくれないときもあるので、そういうときは、ようやく首の座った姪っ子を膝の上にのせて歌詞つきで歌ってみせる。
黙って耳を澄ます姪っ子に、穏やかな気持ちになって心地よい。
同じように、姪っ子の母親が張り切って歌いだした。
堂々とした歌いっぷりだが、残念ながらその歌声は「音痴」の部類にあてはまる。
すると姪っ子は顔を真っ赤にして怒り、ありったけの力でウデをぶんぶんと振り回したのである。
不幸なことに、顔面を思いきり近づけて熱唱していた母親は、その何発かのコブシを頬にマトモに受けるはめになった。
ストレートで純真な赤ん坊の感性を、侮ってはいけない。