危機感

梨花とシェイラの区別がつかなかった。

「彼女は梨花にとても似ているけど、シェイラというモデルである」

という指摘に真っ向勝負を挑み、まるで駄々っ子のように「これは梨花だもん! これが梨花じゃないっていうなら梨花ドッペルゲンガー以外の何者でもない!」と、言い張った。

私は「おまえは大いなる勘違いをしている」という周囲の言葉には一切耳を傾けず、やがて番組内で表示された「シェイラ」というテロップを見て、その真実に愕然とすることになった。

そのとき私は自分の中で、言葉では表現しづらい妙な敗北感を感じた。

それは「人から間違いを指摘された」ということではなく、自分が今まで自信を持っていた「識別的感覚の崩壊」という問題である。

最近ではそこに「フィフィ」というニューフェイスが加わり、その三角地点はさらにまぎらわしく、危険なトライアングル地帯となっている。

ここのところ、三人ともテレビで頻繁に見かけるようになったので、そのうちの誰かがブラウン管に映し出されると「いかに瞬時に、正確に、見分けられるか」という判断ゲームがマイブームになっている。

他にもっと、気に掛けるべき重要なことってあるんだけど、ね。