寒いのが苦手。だから、冬という季節がダメ。

一年の半分以上は日本以外の地域で過ごしているというのに、毎年毎年、冬の寒いシーズンだけはきっちり日本に戻っている。

できれば「はずしたい」期間なのに、私の外出サイクルは春から夏にかけてというのがここ数年のお決まりになっている。

今年の冬は環境破壊が一因となり、例年に比べるとはるかに暖冬だという。

確かに、身体の芯から底冷えするような寒さを感じていない。それが「温暖化」によるものだと思うと、ノンキに「あ〜あ、今年はそんなに寒い冬じゃなくって良かったなぁ」とも言ってはいられないのだが、多少はホッとしているというのも正直なところである。

そんなトンデモナイ自己都合人間なので、「今年は雪を見ずして春を迎えるなんてガッカリ」などと思わないし(雪を見るとワクワクする気持ちは否定しないが)、それどころか「四季なんて厄介なものがない南国パラダイスに生まれたかった」と思ってしまう。

ところが、季節といえば雨季や乾季といった雨量の差異しかないバリ島のような国へ行くと、「日本の素晴らしいサクラを一目でいいから見たい」とか「雪を触ってみたい」とか、とにかく四季特有の風情を羨み、絶賛する声に囲まれることになる。

きっと私も同じだろう。

鮮やかに変化する季節の変わり目がない地に生まれたならば、生まれ変わる時のようにしてやってくる「強い個性を放つ移り変わり」に、私もきっと、同じような言葉を漏らすに違いない。

そう思うと、やはり今年の冬は「らしくない」し「あじけない」。

どうやら今年は粉雪さえもなく終わってしまいそうな関東の冬だが、それとは真逆に、赤レンガを積み上げたネパール・カトマンズの街には、なんと63年ぶりに真っ白な雪が降り立ったとのこと。

ネパールに住む私の友達は、今まで体験したことのない、その冷ややかでいて美しい氷の結晶を、どのように感じたのだろう---。

やはり、四季ってのは素敵だ。