お受験真只中

この時期、派遣先の職場では、受験の「合否」連絡が飛び交って落ち着かない。

担当の先生方は「合格」の連絡を受けると我が事のように歓喜し、また残念ながら反対の報告を受けると、その事実を真摯に受け止め、励ましの言葉を掛けたり、「喝」を入れたり、次の段階へのアドバイスや勉強の指導に力を注いだりと、大忙しである。

そんな中、一息ついたころに一人の先生が「ちょっと、逃避行します」という意味ありげな言葉を残して「ただのランチ」に行こうとした。

そこで、その先生の「キャラ」を理解している受付事務の私と先輩は「いってらっしゃい」と、いたってフツーのトーンで見送ったところ、それが気に食わなかったらしい。

「君たちさ。もうちょっと気の効いた言葉をかけられないのかなぁ?」

ため息交じりのわざとらしいセリフで、その先生はそう言った。

ちょっぴり「お疲れ気味」の男の背中に、女子からの「優しい気遣いの言葉」を求めていたらしい。

それにつなげるための「逃避行発言」であったのに、思いっきり流されたことに対する皮肉50%、冗談50%といった口調であった。

先生の言葉に、その場は和やかな笑いに包まれたが、「私、週刊文春とか週刊新潮とかよく読むんだよねぇ」とか、それに対して「私なんてモーニング読んでるよ」という会話で盛り上がってしまう人種に「その手のこと」を求めるのは、ちょっと違うかなぁと、思った私なのであった。

ちなみに「●●さんは何か読んでるものとかある?」と振られたときの私の回答は「週刊少年ジャンプ」である。

そして、先生が求めていた模範解答「たとえばその1」は、「先生、春の来ない冬はないですよ(ニコリ)」とのこと。

それは「anan」や「Can Cam」の愛読者でも出てこないセリフだなぁ。さしずめ「和楽」あたりか? 

とにかくこの時期は、生徒ばかりか先生へのお気遣いも必要ということらしい。