カエルに託す「店の顔」

「大変お待たせいたしました。日に焼けてちょっぴり色褪せたショップカードでございます。ご注文は以上でお揃いですか?」

アッシがこのように、一生懸命「Asian Zakka Moti」の店名を掲げて立派に「看板」の役目を果たしているにもかかわらず、店の奥では、もう何度目かになるこんなやり取りが、今日もまた繰り広げられている。

「それじゃ、スタッフの方から意見があったらどうぞ」
「いい加減、看板を作ってください」
「・・・・・・」
「そうだよ。看板は作るべきだよ」
「せっかく口コミでお店のことが広がっても、看板がないとお店を見つけることができません」
「いやぁ、うちはまだそんな口コミで人が集まるほど有名じゃないし」
「この間来たお客さんが人から聞いて来たけど、看板がないから見つけるの大変だったって言ってた」
「た、確かに。結局見つけることが出来ませんでしたって意見は私も何人かの人に聞いてます・・・。すみません」
「看板作ってください」
「夏までには必ず作ります! スイマセンしたっ」

その直後、スタッフの一人がやけに張り切って「看板のデザインを考えたんだけど、まず素材は木材で、バリ島の地図のカタチにカットするの」と話し出したところで「それ、却下」と、速攻で否定のオーナー。

夏になったら、アッシはお役目ご免となってしまうのだろうか?

いや、そんなハズはない。

なんせアッシは、オーナーのご友人一同から「開店祝い」として贈呈された逸材なのだ。

もう一人のオーナーに、「これ、結構かさばるし、重いんだけど」とか嫌味を言われながらも、そんなことはお構いナシのオーナー↑が、「大丈夫だって」とか言いながら、アッシを強引にバッグへ詰め込んで、そうしてはるばる海を渡ってやって来たのだ。

だからアッシはこうして胸を張って堂々と、店頭に立って立派にお店のアピールに一役も、二役も、かっているってわけである。

コラ!

引きで撮るんじゃない!!

そのように引きで撮ると「ホント、ぜんぜん目立ってないな。ダメだな」「やっぱり看板は必要だよね」「カエルじゃ無理だよね」って会話が成立してしまうじゃないかっ!!

こらぁぁぁ〜〜〜。こらぁぁぁ〜〜〜。うわぁぁぁ〜〜〜ん。