充電地獄

プラグをコンセントに差し込むという行為でさえ「億劫」と感じることがあるほどのモノグサである。

だから一番最初に購入したMP3は電池仕様のものを選んだ。

小さければ小さいほど重宝されるコンパクト製品の王様MP3。そんなご時世にあえて「電池仕様でごつめサイズのMP3」に挑む消費者。そんな希少な人間にも対応してくれるメーカーはあった。

少なくとも二年前まではね。今はどうだかわからないけど。

理由はそれだけではない。

今時の家電製品は充電を必要とするものがあまりにも多すぎやしないか?

携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、おウチ電話の子機などなど・・・。

もう充電器だけで「どれがなんのコードだかわかんねーよ、コンチクショー」ってくらい混線していることがある。

リサイクルが必要とされている昨今、電池を使い捨て続けるってのは確かに「地球にやさしい」とは言いがたい。

しかし「充電」という行為は、旅先での生活時間が長くなるにつれて、「計画性とタイミング」という能力を問われる私にとっては実に厄介なものでしかない。

私が定宿にしているバリ島の部屋は、コンセントの穴が二つしかない。

一つは扇風機とスタンド電気で交互に使用しているので、充電専用として使えるのは一つの穴に限られてしまう。

それを携帯電話とデジタルカメラにあてるのである。

どちらも毎日の使用頻度が高いので、「なによ!あたいにはこんだけの電力しか食わせてくれないの?!ふんっ!!」「わたしだって満足してやいないわ! 通話中にいきなり電源落とすわよ!!」なんてことにならないよう、携帯もデジカメもバランスよくパワー供給しなければいけない。

気遣いってのはなんにでも必要なんだなぁ。

そこにきて「起きてるうちはずっと聞きっぱなし」ってくらい乱用しているMP3を充電しなければいけなくなるというのは、「そんな稼ぎで外に三人も女を抱え込んでるとはケシカラン!」みたいな行為にちょっと似てるんである。

それに、私がよく訪れる国には「停電」が日常茶飯事だったりする土地もある。無論、数分で電力が戻ってきたりなんかはしない。数時間ずっと暗闇だったりする。

これらのことを考えると、これ以上「充電製品」を増やすというのは自らの混乱を招くも同然である。

トラブルは未然に阻止!!!

なんて言ってた私ですが、いま、私の手元にある新しいMP3は、紛れもなく充電式のものだったりする。

でもこれ、ありがたいことにカップラーメンタイムの充電で数時間使用できるって優秀なやつだし。

為せば成る!!!

よし。これだ。