阿鼻叫喚! 集団検診

無職バンザイ! ニート万歳!!

財政危機に瀕している人間が楽天的に言えたセリフではない。

無事に派遣の仕事が終了して一週間。あの多忙な日々を振り返ると、「おウチで子育てに専念してます」って日々は、ちょっと手持ち無沙汰な感じ。

しかし、今日は待ちに待った「お母さん(またはお父さんとその他関係者同伴可)と赤ちゃんのビッグイベント」が控えている。朝からわっくわくで、起きるはずない朝の5時半に目が覚めちゃった。と思ったら、花粉症の鼻づまりで息苦しかった為の不快な目覚めであった。

お昼過ぎ。姪っ子と新米ママと三人で、仲良く近所の保健施設へ「集団検診」を受けに行く。

誘導された大部屋には、すでに20組以上の「ママあーんど興奮気味のアカチャン」が待機していた。壁には本日のプログラムが8工程書き出されている。

アブナイ大人だと思われるかもしれないが、私はたんに「注射針をちくりと刺されて瞬間号泣する姪っ子の姿」を見学したかっただけなので、離乳食や歯の手入れなどといった保健士さんからのありがたいお話にはすぐに飽きてしまった。

赤ちゃんたちも、また然り。

「うぎゃあぁぁぁ」と豪快に泣き始める子もいれば、すやすやお眠りにはいる子もいる。姪っ子のように、たまに「うきゃぁ〜」と奇声をあげる子も、まぁ、あんまりいなかったかな・・・。

保健士さんからの話は必要なことだけど、お話終了後から「体重&身長測定」→「お医者さんによる検診」→「予防接種」までの待ち時間がとにかく長い。

これは私個人の忍耐力の問題ではなく、周りのお母さんも同じく「待ち時間が長い」と漏らしていたので客観的意見だと言える。

たとえば、「体重」と「身長」を測る人間が一人に対し、それを記録する人が一人、そしてさらにその書類をお母さんに渡す人が一人といった具合。「体重測定」と「身長測定」を別々の人が担当し、記録係が書き終えた書類を渡すようにしたら、もっとスムーズにいくのではないか?

そんなことを考えていると、隣の部屋から耳をつんざくような悲鳴が---。

ぎゃあぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜

集団ヒステリックかと思ったがそうではなかった。

本日のメインイベント(と、私は思っている)である、例のヤツが始まったのである。

注射だ。

これは痛いぞ。

スタンプ形状の注射器BCGだ。

直径2cm程度の円の中に9本もの針を忍ばせている。

大人の私でも震え上がりそう。

注射をしている先生の手元を観察していると、ますます恐ろしくなった。スタンプ形状なだけに、まるで「しっかりハンコを押すように」力強く針を押し付けているのである。

「せっ、先生。そこまでしないとダメですか?」と、思わず声を掛けてしまいそうになるくらい、力みで手元が小刻みに震えている。

その作業が二回続くのである。赤ちゃんにはまさに地獄の苦しみ。良い子のみんなは例外なく大泣きである。

姪っ子など、注射を打つ前の「腕に消毒」段階で瞬時泣き。そーいうものが大好物な私は「ぷぷぷ」と笑ってしまったが、いよいよ注射針をプスっと刺されて「うぇ〜ん」と姪っ子が泣き声をあげたその瞬間、私まで熱くこみ上げてくるものがあり、危うく「大人泣き」するところであった。

あまりに情けないので、ここだけの話にしといてください。

姪っ子が針をプスリとやられただけで気持ちがこんなに揺るぐようでは、交通事故や犯罪に巻き込まれ、傷つけられた子供の親の「痛み」とはどれだけのほどか計り知れない。

姪っ子の場合は犯罪じゃなくて「予防行為」なわけだけど、ついついそんなことを考えてしまった。

小さい体で精一杯生きる子供たちは、大人である私よりもずっと「生と死の間」を身近に感じて生きている。

小さな尊き命を、私たち大人が守っていかなければいけない。

はて、今日はそーいう日だったか?