悪夢再来。ネットで「優良歯科医」検索

とにかく歯が弱い。
「十年後、健全な歯がどれだけ残っているのだろうか?」そんな切ない自問を繰り返してしまうほど、切羽詰った状態である。

旅先で歯が欠けてしまい、軽い気持ちで歯科医に行ったら深刻な状況になっていて、「歯の治療」のためにタイ・バンコクで一ヶ月の滞在を余儀なくされたこともあった。

そして今日。
被せ物が外れた。

それまでご機嫌で「焼肉弁当」しかも「上カルビ」なんぞを食べていたのに、その瞬間、私の頭は真っ白。一気に奈落の底である。
ショックのあまり、しばらく意識の飛んでいた私だったが、見てみぬフリのできる問題でもないので、気を取り直して、長い付き合いになってしまうかもしれない「歯科医院」を探すことにした。

しかもネットで‥‥。

キーワードは『削らない 歯科治療』

いつだったか、テレビで「虫歯部分をやたらと削るのではなく、極力歯を残せるよう、薬を埋め込む治療で虫歯を撃退する」といった治療方法を採用しているという歯科医の番組を見て、いたく感動したことを思い出す。

「こんな歯科医院が近くにあったのなら、寿命を縮めるような暗い気持ちで通院することもないのになぁ(いや。できれば歯医者さんには一生お世話になりたくないんだけど)」とさえ思ったのに、その治療名さえもすっかり忘れる始末。

なんとかヒットするよう願いながらキーを打つ。

『削らない 歯科治療』

やがてそれは『3mix-Mp法』というらしいことが判明。

早速この「3mix-Mp法」についていろいろと検索してみた。

この治療法は「削らない、抜かない、痛みがない」と万能な治療法のように思われているが、必ずしも「痛くなく、削らない」というわけではないらしい。

さらに虫歯の状態によっては、この治療法は必ずしも有効ではなく、結局は削らなくてはならないこともあるとのこと。

しかし、抗生物質を使うことによって、無菌化、軟化象牙質を削らずに済むという点では非常に効果的な治療法であるといったことが、歯科医のコメントとしてあった。

「これしかない!」

近所にこの治療法を採用している歯科医院がないか、調べる。すると、奇跡的にも徒歩圏内で、その病院は見つかった。

「これしかない! これ歯科ない! これしか‥‥」

あれ? なんかこの名前、聞いたことあるなぁ。なんだっけ?

・・・・・・。

急いで友人に連絡をする。

「前に●●歯科医院に通ってるって言ってなかったっけ?!」

無情にも、その答えはYESだった。

友人が言っていた忌まわしい言葉を思い出す。

「なんでこんなにひどくなるまで虫歯を放っておいたのかって、すっごい説教されたんだよねぇ。とにかく恐い先生なの。治療費も高いし、できればもう行きたくない」

治療台の上で説教を聞くような恐怖だけは味わいたくない。

他に道はないのか?